うぇるそふぃあ ~35歳リーマンの生活収支改善ブログ~

某IT会社で勤める35歳の企画系ヌルリーマンの日常。日々が退屈で、面白いことを失ってしまった僕に「楽しさ」と「驚き」を。自分がテクノロジーやガジェットが好きなのでそれ系の記事が多めになると思います。

読書ログ:ニューカルマ~人間を動かすものは何か?~

恐ろしい本と出合ってしまった。。。

※ネタバレ注意であらすじと感想です!

 

 

この本はネットワークビジネスをテーマとした小説で、主人公は私とほぼ同じくらいの20代後半。主人公も普通に会社に勤めて、微妙なオジサンの同僚と一緒になんとなく仕事をしている。

昔の大学の同級生から「どうしても来てくれ」とネットワークビジネスの講演会に呼ばれたところから物語は始まる。
最初は半信半疑で、「不景気な中でほんの少し収入の足しになれば」というような縋るような気持ちでネットワークビジネスを始める。


しかし、ある時「身体を売って」優良会員を獲得したことから状況が一変。
収入80万円/月という圧倒的な収入を得る。一方で、ネットワークビジネスへのめり込むうちに、周囲の信頼を失い、地元へは帰ることができなくなり、会社も上司ののいびりにあい退職してしまう。

最終的には、すべての収益を失っているところを親友・家族の助けを得て、一度はネットワークビジネスから足を洗う。

 

・・・ここまではよくあるドキュメンタリー調の小説である。この小説の底なしの救いのなさはここから始まる。

 

さて、再就職を果たし、営業として地道に生活を立て直した主人公。

営業先の社長がなんとネットワークビジネスの社長だった

 

「つらかったな。お前なあんも悪くないよ。ただな、同じような境遇にある人の話、聞いたってくれんかな?」


そうその社長に語りかけられ、結果的には自分自身を完全に騙してネットワークビジネスへのめり込んでしまう。

世の中で、最も恐ろしいものは善意と信念であり、不安を駆動力にしていた、主人公が善意を駆動力に変えた時、何が起こるのか?

 

印象的なのは、最初は後ろめたさから「自分と関係の薄い人を優先的に勧誘」していた主人公が、物語の最後では真っ先に「縁を切られた親友を勧誘しようとする」(=自分自身が100%善意)でネットワークビジネスをやっているというプロセスである。

 

この本のタイトルにもなっている「カルマ(=業)」とは、

 ・お金を稼がないと生きていけないこと

 ・周囲の成功者をうらやんでしまうこと

 ・自分の幸せを人に分け与えたいとおもうこと

 ・自分の善意を人に認められたいとおもうこと

というような、善性も悪徳もすべて含んだ、人間の心そのものなのでは?という気分にさせてくれる小説でした。

 

ニューカルマ

ニューカルマ