『デザイン』、というとなんとなく「おしゃれでカッコいい」というイメージが出てくるが、突き詰めて「デザインとは何か?」と考えていくと、説明できそうで説明できないもやもや感が訪れるのではないだろうか?
本書は、オランダでも最高峰の大学の一つデルフト工科大学の工業デザインの学部で使用されている工業デザインの教科書の邦訳版である(たぶん)。
この本の特徴は、「値段がそれなりに高い、でもすごくおしゃれ」ということである。
新品で購入して本棚に横向きで飾りたい感じ。
デザイン思考の教科書 欧州トップスクールが教えるイノベーションの技術
- 作者: アネミック・ファン・ブイエン,ヤープ・ダールハウゼン,イェレ・ザイルストラ,ロース・ファンデル・スコール,石原薫
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2015/06/23
- メディア: 単行本
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さて、内容の要約へ移ると。本書ではデザインを「ユーザーが抱える課題を解決するための活動」と位置づけ、そのためのアプローチをこれでもか!と70手法ほど紹介してくれています。
「デザイナー」というと天才的にどこかから優れたアイデアをひらめくように見えつつもそんなことはなく、系統だった手法による分析、アイデアの発散やプロトタイピングによる改善を繰り返すことであいまいな問題に少しずつ解決策を提示するということを説明してくれています。
デザインの7つのステップ
1.デザイン活動の組み立て
⇒どんな手法を使うのか?誰を幸せにするのか?プロジェクトの概要を決める。
2.モデル・アプローチ・視点
⇒1.を少しだけ詳細化して、ユーザーの感情やどのようなゴールを描くのかをざっくりと決める(手法:エモーショナルデザイン、Vision in Productなど)
3.発見
⇒2.のゴールを達成するデザインのコンセプトを決めるために徹底的に「分析」をする。幅広く、幅広く、徹底的に。
あいまいな問題をしっかりと理解する。
このための手法としては、ユーザーに直接聞く(インタビュー、アンケート、動画撮影、カスタマージャーニー)、既存のサービスを分解して比較分析(価値曲線、機能マトリクス、SWOT)、市場を理解する(ポーターの5forces、トレンド分析)など。
4.定義
⇒3.で見つけたあいまいな問題を明確にする。手法としては、ペルソナ(一般的な対象ユーザーの最も代表的な特徴を抽出する)やストーリーボード・シナリオ(代表的な問題と代表的な解決策、デザインの本質的な価値をわかりやすく提示)が挙げられる。
例:30代で婚活サイトへ登録したA子さん、今日も夜遅くまで仕事をした後、一人暮らしのアパートへ帰宅。最近はFacebookを見るのがつらい。(婚活女子のペルソナ案)
そんな彼女へ提供するのが一人でも寂しくなくなるWebサービス。
平日の仕事上がりに15分間、このサービスを使用するのが彼女の日課になっている(ストーリーボード・シナリオ)
5.開発
⇒4で定義した問題への解決策を具体的に提示する。アイデアの収斂と発散を繰り返すための手法を用いる(発散:ブレインストーミング、メタファー、SCAMPER、収斂:フィッシュトラップ、5W1H問答)
6.評価・シュミレーション
⇒5で生み出したアイデアを評価する。ポイントは「ユーザーの意見を取り入れて改善する」ことユーザビリティ(使いやすさ)評価やプロトタイピングを行うこと、ビデオビジュアライゼーションなどの可視化を行うこと。
(合わせて、製造上の原価計算や広告なども考慮に入れる)
以上まとめでした。
詳細手法はたくさん紹介されているのと図がきれいなので、本当にパラパラとめくっているだけで楽しい気分になれる一冊でした。
デザイン思考の教科書 欧州トップスクールが教えるイノベーションの技術
- 作者: アネミック・ファン・ブイエン,ヤープ・ダールハウゼン,イェレ・ザイルストラ,ロース・ファンデル・スコール,石原薫
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2015/06/23
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