うぇるそふぃあ ~35歳リーマンの生活収支改善ブログ~

某IT会社で勤める35歳の企画系ヌルリーマンの日常。日々が退屈で、面白いことを失ってしまった僕に「楽しさ」と「驚き」を。自分がテクノロジーやガジェットが好きなのでそれ系の記事が多めになると思います。

読書ログ:「億男」~お金と欲望と明日への希望~

 「億男」読み返しました。

ライフステージやその時の状況によってこの本は何回読んでも味があると思えるのは、すごいです。

億男

億男

 

 突然、お金を手に入れてしまうと人間はどうなってしまうのか?

この物語の主人公・一男は、実際に宝くじで3億円を手にし、途方に暮れます。
3000万円の借金が原因で別居中の妻子やその借金を返すべく昼夜問わず働いている日々を送っていた一男。「お金と幸せの答え」を求めて、大富豪となった親友・九十九のもとを15年ぶりに訪問します。ですが、九十九は、一男のお金とともに失踪…。

そこから「お金と幸せ」の答えを探す一男の旅と数奇な人生をたどっている登場人物との出会いが始まります。

 

◆お金を持つことで安心感を手に入れられる

団地の押し入れに現金を隠している十和子の場合、あれは究極の貯金の形です。「とにかく使わないで貯めておくのが幸せ」という人です。絶対になくならないほどのお金がある、という安心感さえあれば、目の前の素朴な幸せに充足できる。

 

◆お金を憎み現実とは離れたところで「賭けて」しまう

競馬場でバンバンお金を使う百瀬は、ある一定以上のお金を持つようになった人の「不信感の象徴」です。お金に対して、その周りの現実に対してリアリティを持てないでいるからこそ、ギャンブルというわかりやすい方法でお金を捨てようとしてしまっています。

 

◆お金のせいで大切な「信頼」を失ってしまう

通信会社の買収工作の中で友人である九十九を裏切った経験のある千住は、そのトラウマからお金を求める人を扇動し、お金を巻き上げる宗教法人を作ってしまっています。

そこに群がる人々は、どこか「お金が目的化」してしまっていて、現実・信頼から遊離したものとして描かれています。

 

◆現実を失ってしまい、欲望・切迫感を失う

妻の万佐子から指摘をされたのが「お金は人の欲望を奪う」というポイント。一男は知らず知らずのうちに借金の返済でお金に追われている過程の中で、娘のバレエの習い事をやめさせようとするなど、大切なものをお金に変えようとし、あるいは3億円を手に入れた中でこれまで自分が大切に思っていた「欲望」を失いつつあると指摘されます。

 

これらの本を読みながらなんとなくテーマ設定が似ているなと感じていたのが仮面ライダーオーズ。オーズも主人公の映司が一度は失ってしまった欲望を取り戻すまでの物語を軸に描いており、「手を伸ばすこと、助けたいと思う欲望」を取り戻しています。

中途半端に満たされるもしくは中途半端に失うと、自分の欲しいもの=欲望が見えなくなり、どうでもいい品物や名誉のようなものに踊らされるというのが人間の性なのだと、繰り返しそういうメッセージが伝えられています。

人間は失ってからしか、その幸せに気付けない生き物です。恋人もそうだし、親もそうです。そういう人間関係が充実しているほど幸せなことはない。ただ、そこがわかったうえでお金に触れているのと、わからないで触れているのはまったく違うと思います。わかったうえで、自分はこうしているのだと思うことが大切なのではないでしょうか。