読書ログ「マインド・コントロール」
「マインドコントロール」について、淡々とマインドコントロールの技術・歴史を語ってくれる本。
意外と心理学系の本も心理テクニック系の本も、しっかりと内容を語ってくれることは少なくて、心理学系の本は理論だけを語り実践例がなく、心理テクニック系の本も、ただ「要求は小さな要求から入っていきましょう。」みたいなテクニックだけを紹介してくれるだけで、なかなか考え方を紹介してくれない。
一方でこの本は、大学の講義のように体系だって「マインドコントロール」の手法・影響を解説してくれる。
特に方法論と原理は勉強になり、社会のいろいろな場面でこの原理が多かれ少なかれ使われていることに、気づかされる。
■本書の提唱するマインドコントロールの原理
- 原理1:情報入力を制限する、または過剰にする
- 原理2:脳を慢性疲労状態におき、考える余力を奪う
- 原理3:確信を持って救済や不朽の意味を約束する
- 原理4:人は愛されることを望み、裏切られることを恐れる
- 原理5:自己判断を許さず、依存状態に置き続ける
例えば、社会的に有名になったワタミの例でも上のマインドコントロールの原理がきれいにあてはまる。
極端に厳しい労働条件で脳への入力情報を制限した中で、「ありがとうを集める」という「聖なる目的」との一体化をさせるということがポイント。
他にも、高校生の体育会系の部活だったり社会的な上下関係だったり、ありとあらゆる場面でこの原理が、意図的・無意識的に利用されているのがわかる。
「人間の脳なんてしょせんは不完全なコンピュータなんだなぁ」ということを感じることができる本で、大変おすすめです。